この記事は2021年に投稿したnote記事を移管したものです。
こんにちは!「Teracy(テラシー)」という、リモートワーク向けの音声コラボレーションツール(SaaSプロダクト)を開発している森井駿介です。
前に「どこでも働ける」ということ というnoteを書いてから、ちょうど1年が経過しました。(書こう書こう、と思いながら気づいたら1年が経ってしまいました.... w 1年ってあっという間ですね。)
今日は、以前書いた「どこでも働ける」ということから、「どこでも働けるようになったけど、それって幸せを産んだの?」という話と、「僕たちがその新しい課題にどう取り組んでいこうとしているか」について考えを描こうと思います。
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ちょうど約1年前、2020年初めから突如広がった新型コロナウイルス(COVID-19)の影響により、当時思い描いた「どこでも働ける」未来は、物凄いスピードで現実のものとなりました。本当に世界が変わってしまった。こんなことって本当に起きるんですね。
2019年ごろの自分は東京オリンピックで潮目が変わる(リモートワークが普及する)はずだ!と息こんでプロダクトを開発し始めていましたが、まさかここまでリモートワークが当たり前になるとはもちろん、予想だにしませんでした。
急速に広がったリモートワークという当たり前
記憶に新しい出来事として、Zoomを使用するユーザーが爆増し「Zoomする」「Zoom飲み」といったワードが、IT業界のみならず社会現象として当たり前の行動習慣になりました。
皆さんも一回はZoom飲みをした経験があるのではないでしょうか?ちなみに僕はZoom飲みが苦手派ですw (やっぱり居酒屋の空気感が最高。)
そんなこんなで、多くの企業や人がリモートワーク、在宅勤務、テレーワークという名の下にオフィスへ通勤せずに働くことが当たり前となった中で、以下のようなポジティブな声を頻繁に見かけるようにもなりました。
「リモートでも全然働けることがわかった」「通勤がなくなってストレスがなくなった」「これを機に地方へ移住しました」
「オフィスを解約し、全国各地からの採用を開始します」
などなど。
知り合いで地方に移住した人もいるし、地方から東京のスタートアップに参画するなんてこともあったりして、働く上での前提(場所の制約)から人々が解放され、新たな可能性・機会が多くの人に拓かれた。そんなポジティブなインパクトがあったように感じます。
そんな中で、良いことばかりではないというか、急すぎた社会の変化は当たり前の生活を変えてしまうが故に新たな社会課題を産んだのではないかとも思います。そこで僕の中で大きな問いが生まれました。
「どこでも働ける」は、幸せを産んだのか
どこでも働けることで、人々に沢山の恩恵があったことは確かだと思います。他方で、見方を変えると「孤独が拡張している」とも見えるなと感じています。
物理的に分散し、リアルで人に会う時間が減った中で大きな恩恵の裏に大きな社会課題として「孤独」というものが拡張しているんじゃないか、という話です。
僕個人の話としては、2015年ごろからリモートワークをしていて(色々あって人にあえず、というか会いたくなくてリモートせざるを得なかった)、基本的に孤独だったので割と身近な話なんですけど w
新たにリモートワークをした人にとっては、自由を感じるのは束の間で一定の孤独感を感じる人も多いのではないでしょうか。
そんな中
「オフィスで対面する時間は大事だ!週に2日は出社します。」「人に会えなくて寂しい、会社の仲間や友達に会いたい」
などなど、リアルやっぱ大事やん。的な声も聴こえてくるようになりました。
つながりは希薄化し広がる 「孤独」
” 在宅ワークは確かに作業が進むのですが、雑談も仕事仲間の笑顔もなく、人と人のふれあいがなくなって、「さみしい」と「孤独感」を訴える人が増えています。 ”
ざっくりいうと、社内のコミュニケーションが欠如することで孤独感を感じる人が増えています。ということです。
あくまでこれは会社という枠組みで見ればの話で、学生であれば学校で友達に会えないとか、家族だと中々帰省は躊躇われて長らく会えないとか。そういうことが当たり前になりました。ちなみに僕は両親ともう1年ほど会えてません。(2週間に一回ぐらいZoomで話すし、毎日のようにLINEしてますけど。)
あらゆる居場所・リアルのコミュニティが分散して社会全体で見ると、このような物理的な分散は比例して孤独を産んでいる・拡張しているように感じます。
今後、一定の揺り戻しがあったとしても、社会に根付いた新たな習慣は残り、今後もリモートワークやオンライン授業は社会の当たり前になっていくんだろうなと思っています。
孤独を埋める居場所を求めてバーチャル化する世界
今まで当たり前にあったリアルでのつながりが希薄化していく社会。そんな中で、多くの人がオンライン上に時間を費やすようになったように感じます。
YoutubeやNetflix・ライブ配信などの視聴時間が増え続けることを始めとし、最近では米国発の音声SNSであるClubhouseも大きな話題となりました。(ちなみに今日、Clubhouseでイーロンマスクがいる部屋に入ろうと思ったけど人数制限で入れませんでした。イーロンマスクとこんにちは、したかった。)
人々の「つながりたい」「孤独を埋めたい」「居場所が欲しい」という欲求は大きく揺れる振り子のように、バーチャル空間へ居場所を求め、向かっているように感じています。
そしてこの流れは今後どんどん加速するんだろうな。と思っています。(一方リアルでのコミュニティの価値が見直されて価値が高まるみたいな文脈も生まれるでしょう。)
つながりを深め、孤独をなくす
ここで肝心なのは、失われたつながりをどう ”新たなつながり” として再構築するか。そんな風に僕は考えています。
Zoomが普及したのも抽象化すれば、失われたリアルのつながりを埋めたいという根源的な人間の欲求がそこに向かった、そのエネルギーの矛先にZoomがあった、そんな感じなんじゃないかなと。
Clubhouseもしかりですね。常時接続の音声SNSが流行る然るべきタイミングだったのかなと思っています。(Clubhouseが普及した要因はもちろん他にも多くの変数があるとは思いますが。)
ここでいう、”つながり” の本質は「わかってほしい、わかりあいたい、分かち合いたい」という根源的な人間の欲望なのではないかなと考えています。
それは、多分(多分) 原始人ぐらいの頃から人間が持つ根源的な欲求であり、満たされないという状態を人は受け入れられないと考えています。
つまり、満たされなければ埋めようという力学が働く。そんな風に考えています。
そんな、リアルで満たせていた ”つながり” が失われるこの世界で、これからの大きなテーマになるのは「つながりを深め、孤独をなくす」ということ。
そのような プロダクト・イノベーション が世の中に求められる、時間が経つにつれそう確信するようになりました。
会社というコミュニティの ”つながり” を科学する
話はちょっとそれるんですが、僕が学生起業した会社の代表を2015年ぐらいに離れ、人に会いたくなくて(この辺についてはまた書きますw) 1人世界中を旅していたときに、もちろん人に会えないのでどうやって仕事すっかなーと思っていたあのときに。
Skype(今やZoomが当たり前になったけど当時はSkypeが主流だった)に感じた初期衝動と心からのリスペクトは今でも忘れられないんですね。人に会えない自分、孤独だった自分がリモートワーク(当時はさほど当たり前じゃなかった)を通じて、新たな人とつながり、仕事ができた。そんなSkype、そしてP2Pテクノロジーが与えてくれた恩恵に心から感謝したことを覚えてます。
今僕らが開発している「Teracy」 を開発し始めたのも、そんな自分のようなある種のマイノリティにもSkypeが与えてくれた機会のように新たな機会や可能性を与える存在になりたい。そういう想いからでした。
孤独が拡張し居場所を再定義する必要があるこの世界の流れの中で、会社という最も多くの時間を費やすコミュニティのつながりを深め、孤独をなくす。そんなチャレンジを今、そしてこれからも頑張っていこうと思います。
単なる便利なコミュニケーションツールで終わるつもりは毛頭なく、僕たちの挑戦は、コロナ禍を超え 分散が進む未来に求められる、新たなつながりのイノベーション を起こすことだと捉えています。
そして、つながりを再構築し社会全体の孤独の総量を減らすことで、「どこでも働ける、そして幸せである。」という未来を実現する。そんな想いで、この大きな挑戦に向き合っています。
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