この記事は2020年コロナ禍になる前に投稿したnote記事を移管したものです。
あるとき、過去少し働いたことがある知人から連絡がきた。「わたし、行きたかった会社に行けることになりました!!」と。彼女はある会社で高い営業成績をあげ続けて次のステップに「自分の好きなこと・やりたいこと」を軸にウエディング領域のスタートアップへの転職を決めていた。昔からウェディングが好きで、ウエディング会社で店長になるまで働いた経験もあった彼女は心躍る文面で連絡してくれた。それまでの僕と彼女はそれほど親しかったわけでもないし、がっつり仕事を共にしたわけでもない。ただ自分は何故か彼女を気にかけていて、「この人はもっとポテンシャルがあるけれど、良い環境と巡り会えてないのかもしれないな」とずっと思っていた。ポテンシャル(可能性) > 環境。そんなことを勝手に(お節介)思っていたので、転職の話を聞いたときは心から嬉しく思ったことを覚えてる。
それから数ヶ月後。「◉◉(地方の地元の名前)に帰ることになりました。なので転職はなくなりました。」と連絡が来た。驚いて理由を聞くと家族の1人が病気をして、支えになるためにも今地元に帰ることを決心したとのこと。当然「仕事はどうするんですか?」と聞いた。そうすると回答として「地元(地方)で探すことも考えてるけど、手取りも少なければやりたいことも地元にはない。」と言った。
「じゃあウチで仕事しましょうよ。全員リモートワークやし。」と僕は気づいたら言っていた。別に同情したわけでも手を差し伸べたわけでもない。単純にその人のポテンシャルを感じていたから仕事をしてみたいと思っただけだし、僕たちにとってリモートワークや場所にとらわれず働くことは当たり前のことであり日常だったから。
それから半年ほどたった今、彼女はインサイドセールスとして弊社で一緒に働いている。うちも課題は山積みだしまだまだ無名のベンチャーでしかないけれど、一定のやりがいを感じてやってくれているのかなと思うと嬉しい。そしてこれは極端に言えば、自分たちが凄いんじゃなくて「どこでも働けるということ」が凄いんだと思った。それを支えるテクノロジー(slack/zoomなど)や働き方の価値観が変わって来ている事で、明確に目の前の人の人生が変わったんだなと自分たちの、自分ごとな話だけれどこの件を通じてそう感じた。こうやってひとりひとり、どこでも働ける未来の働き方の恩恵を受けて人生を豊かにしていくのかもしれない。
その他にも、リモートワークのコミュニケーションを変えるプロダクトを一緒に開発しているエースのエンジニアは海外で結婚しカンボジアに住んでいる。彼とはもう7年(?)ぐらいの付き合いで、当初から直感的に「こいつとは絶対将来仕事したいし、するんだろうな。」と思っていた。プロダクトの開発を決め動き始めた2019年の夏頃に、ふとそのメンバーのことを思い出し連絡をとった。それから一週間も経たないうちにビデオで話してジョインが決まった。その時、当然彼はカンボジアにいたけれど、自分たちの中で仕事を始めるのに場所や物理的な距離は何の障壁にもならなかった。(彼も長い間ずっと海外暮らしでリモートワーカー。僕はもう4年ぐらいになる。)そんな彼とは9月10月にマレーシアとバンコクで一緒に酒を飲んだ。たまに会えるのはやっぱり凄くいい。
他にも、子育てをしながら仕事をしている強き母もいるし、旅が好きでひたすら海外を回っているノマド芸人たち(比率が多いので”たち”w)や、国際恋愛をしていて定期的に会いにいっているメンバー、外国人エンジニアメンバー、地方移住メンバーなど多様なメンバー、人生がある。こういうメンバーがこの時代に一緒に仕事をできているのは、いうまでもなく「どこでも働ける」時代だからだなと思う。これからの働き方は多様化し、より場所にとらわれずに働く人が増えることは疑いようがないけれど、そういった未来をより速めたり、圧倒的によく出来る、そんな事業を生み出したいなと思っている。そうすることで、自分の人生を生きることを諦めることなく自分らしく生きられる人が増えるということに確信があるから。
人生には個人の数だけストーリーがある。それだけ多様なストーリーに社会が合わせられるわけもなく、社会や働き方に個人が合わせてきた今まで。これからは個人のストーリーに寄り添った働き方ができる時代になっていくんだろうな。と思っている。もちろんリモートワークなんてまだまだ黎明期だし、賛否両論。なんならリモートやってる会社なんてやる気あんのか。ってくらいに言われることもある。個人的にも実際会社を経営する中で課題感は山ほど感じているし別に以下のようにtwitterで投稿したように「リモートワーク万歳!」みたいなことをいうつもりもない。極めて冷静に状況を見ている自信はある。
それでも、僕たちはその中でプロダクトをつくりリモートワークをもっといいものにしていくためにこれからも向き合っていきたいなと思っている。
「どこでも働けて、暮らせる」ということがこれからの10年間で本当に実現できた時、そのインパクトは今自分が描いているそれを遥かに超えるものになるだろうし、多くの人がより自分の可能性を追求できる世界になる。自分たちがもしかすると少し特殊で、少しだけリモートワークについて慣れ親しんでいるマイノリティであるかもしれないということを最近ようやく自覚してきた中で、僕たちだからこそ分かる課題やインサイトをプロダクトに落として2020年からのこれからの数年でより多くの人が「どこでも働けて、暮らせる」未来をつくる。そんなことをいつも考えている。
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